トライアングル 最終話

葛城父を追い詰めた先に見えた真犯人は・・・丸山さん。志摩野さん殺害事件の折に一度疑われてかわしたものの、個人的には疑っていたので犯人としては順当だったような気もするし、久々に推理がかすった。先週の中畑のカードの話はやけ長回しだったし、違和感もあったんだけど、重要な伏線どころか決め手だったのか。連続ドラマである以上、現場に落ちていたカードが原のカードだったということを視聴者が忘れかけていた頃に持ってくるのは上手かった。
全体的に、よく「動く」ドラマだったように思う。善人っぽかった丸山さんが犯人になった途端豹変したり、悪人のように思われていた黒木父が郷田の協力者だったりと、主要人物の演技のよさはかなり目立った。主役だった江口・稲垣コンビは言わずもがな。ドラマの内容としては重要な伏線っぽかった黒木父の異例の大出世が「思いっ切り頑張ったから」的な理由で放り投げられたり、サチ殺害事件で慌てて現場に駆けつけたはずの丸山が既にレミントンの準備をしていた(おまけに硝煙反応が出てない)とか、少し粗っぽいところも目立ってしまったけど、そこはそれほど気にならなかった。内容としては、25年間の苦しみを背負い続けて自分の人生を歩めなかった郷田やサチが、たった一人の人物に翻弄されたという事件の大きさに対する、当事者達の反応があまり腑に落ちなかった。丸山が全部やったというスケールのデカさとかはいいけれど、視聴者的には郷田ほど素直に割り切れなかった。丸山を殺さずに、「可哀想」とまで言い切る郷田の人間としての強さにやられたような気がする。登場人物が全体的に、人間としてかなりデカイ気がする。ドラマなんだからこのぐらいは許される範囲だと思うけど。
大きなテーマは「時効を過ぎて罪が消えても心の傷は消えない、時効を過ぎた事件の罪は消えてしまうから償うことは出来ず、生涯罪の意識に苦しみ続ける」とか時効を巡るドラマと、「誰かの代わりでもなく、復讐心にとらわれることもなく、自分自身の人生を生きる」と言ったところでしょうか。時効ギリギリに捕まえて罪を償わせることになった「流星の絆」も警察官が犯人だったけど、比べてみると面白いかもしれない。
とにもかくにも、個人的にはかなり楽しめた作品であったことには間違いない。さすが関西テレビ50周年記念を謳うだけはあった。BGMも盛り上げるところと無音で締めるところとキッチリやっていたと思うし、文句のない出来だった。火曜9時・10時は学芸会枠とドラマ枠で区切られているけど、この温度差の激しいところもなおさらお互いの差を引き立たせていたのではないかと。どちらが好きかは個人的な問題でしょうが、私は「トライアングル」の方を支持したい。ここまで夢中になって見れたドラマは久しぶりだったんじゃないかと思うので、後番組にも期待・・・って「ハンサムスーツ」のCMが流れた瞬間、これが後番組かと思ってしまったけど、正式な後番組があるのか。何だかCMを見ただけでは判断が追いつかない。