機動戦士ガンダム00セカンドシーズン 第25話「再生」

刹那・F・セイエイ、未来を切り拓く!」
純粋種イノベイター刹那VSイノベイターになれなかったイノベイド、リボンズ・アルマークリボンズキャノンの裏からガンダムが出てきて、変幻自在の戦法を繰り広げ、ファングありライフルありキャノンありトランザムありと、最終決戦にふさわしい盛り上がりだった。アレルヤはハレルヤと一緒に喋れるようになったみたいだけど、余計にややこしい・・・どうにかアレルヤはヒリング、ロックオンはボロボロながらリヴァイヴを倒し、最後の見せ場獲得。最後はダブルオーとリボンズガンダムがぶつかり合い・・・リボンズがGNドライブ奪取。刹那がイノベイターに覚醒したのは当然ながらGNドライブのおかげだろうけれど、それにこだわりまくったリボンズは、ラスボスとしては器が小さいな。視あごはオーガンダムVSエクシアR2の格闘戦。一本背負いは流石に反則だろうと思ったけど、最後の一騎打ちに燃えたのでよし。花の向こうから飛んでくるエクシアだとか、決戦後に地球に向かって飛んでいく花だとか、ビジュアル面でのこだわりが良かった。
全てが終わったのち、世界はイノベイターアロウズの世界を逃れ、新政府樹立。カタロンのリーダーや構成員が参加することでより中立的な政府を目指すみたいだけど、何だか見覚えのある顔もチラホラいるので・・・。アンドレイはそんな新政府のもと、軍人としての理想を守り抜くことを約束。今までが短絡的過ぎたので、これからはもう少し反省して欲しいところなんだけど。そんなこんなの中、不死身のコーラサワーが幸せのコーラサワーとしてまさかの再生!生き延びてくれただけでも凄いことなのに、まさかマネキン大佐あらため中将とゴールインするとは。戦争の中で最高の幸せを掴んだのは、やっぱりこの男か。ルイスもGN粒子のおかげか身体の汚染が解け、すっかり沙慈とラブラブ状態に。日常から戦争、そしてまた日常へと帰還していった二人が作る未来の中に、この戦争の可能性があるのではないかと。具体的なヴィジョンは示されていないけれど、ソレスタルビーイングとして活動してきたことが、沙慈が今後の世界の間違いを正していく可能性を示唆しているようにも思う。グラハムはビリーの元へ戻り、コンビ再結成。この人も最後の最後まで迷走しっぱなしだったけど、セカンドシーズンを大いに盛り上げてくれた。戦争という大局レベルの中で、「ライセンサー」であるミスター・ブシドーが個人的な戦いを作り上げてくれたはず。
ロックオンはアニューの墓前に戦い続けることを誓い、アレルヤはマリーとともにキャラバンに参加。マリナはアザディスタンを再建し、刹那に届かない手紙を送る・・・。オーガンダム戦がゴロゴロソング・・・ではなくマリナと子ども達の歌をバックに展開され、刹那に「あなた自身の幸せ」を問いかけるというのは、ラストバトルに相応しい・・・かどうかはともかく、それなりに意義のあるものではあったと思う。世界は救われたけど、刹那はどうなんだと。刹那は確かにセカンドシーズンに入ってから変わり続けたけれど、それは「世界のため」「未来のため」、あるいは誰かのためであって、そこには一見自分自身の姿が無いようにも見えてしまう。しかしそんな刹那が選んだ道は、以降もソレスタルビーイングとして戦争根絶のために立ち上がること。ヴェーダと同化したティエリアのように、イノベイターと化した刹那には、人並みの幸せを求める権利がないのか、あるいは意思がないのか、それとも・・・。いずれにせよ、確かに刹那が戦い続けた理由については、未だに疑問符が残らないこともない。今後の戦いの中で見出していくのかもしれないけれど。ただ、ガンダム=神の呪縛から解き放たれたことだけはおそらく事実。
ファーストシーズンの折、ガンダムエクシアは「断つ」ことの象徴だと書きました。セカンドシーズンのダブルオーは、「繋ぐ」ことの象徴だったように思います。それは戦争の中での個人レベルの(精神空間、テレパス的な)対話であり、そして来るべき外宇宙の生命との対話の第一歩であったはずです。そして最後はダブルオーではなく、エクシアで戦った。「繋がる」ことが出来ない人間との関係は、世界のために「断つ」ことが求められる。世界を支配しようとしたリボンズしかり、世界の中で混沌と戦いを愉しんだサーシェスしかり。「繋がる」可能性のために、それを潰すものを「断つ」こともやはり必要・・・というと戦争肯定みたいですが、それはともかく。
外宇宙のために人類の意思を統一しようという「ガンダムSEED DESITNY」的な野望を破壊し、人々が自らの足で歩き始める「コードギアスR2」的な世界のヴィジョンを描いて終わったわけですが、この先戦争モノのロボットアニメをやろうとすると、結局はこういうところが終着点になるのかな。今作の場合はそれに加えてソレスタルビーイングが今後も世界を影から守り続けるという流れも加わったわけだけど。ロボットアニメの新しい着地点を示して欲しいという勝手な期待を抱いていたので、勝手に残念がることにしておきます。
最後になりましたが、個人的なベスト・エピソードは第20話「アニュー・リターン」。アニューが敵として覚醒する展開も、アニューが死ぬことも意外性が全く無かったのに、演出だけであそこまで泣かせてくれるとは・・・。完成度はあの回が一番高かったものと勝手に思っておきます。1年半もの長期、楽しませていただきました。スタッフの皆さんに感謝。