とらドラ! 最終話「とらドラ!」

「空は、つながってる」
竜児、高須家にて大河と一夜の結婚式。泰子は竜児の未婚の母だったらしいけど、そのあたりの社会的問題は、親子の絆でどうにか解決。やっぱり社会の問題は本質的なものじゃなかったのかなぁ。キスシーンの作画の気合の入り方は・・・なんというか、かつてないほど生々しいというか、なまめかしいというか・・・。
たった一日の駆け落ちの後、大河は逃げないことを決意して転校。急に転校する大河や、いいことを言う先生も目立ったけど、一斉メール送信で台無し・・・でもこれが最後の決め手だったとは。最後にみんなの写真とメッセージを添えて大河に送る場面は、旅立つヒロインの見送りとしてはこれ以上ない・・・って、旅立ってもメールが来たりするんだから、あまり旅立った感が無かった。で、結局戻ってくるという、この上ないハッピーエンド。実乃梨がしっかり決めてくれたり、亜美のフォローもしてくれたけど、最終話としては最高・・・とは言いかねる感じになってしまった。大河とくっつくまで、つまり家出からの展開がもう1話あれば、また違っていたのかなぁ。
全体としては、青春群像劇とでも言うべき、5人の関係のドラマが魅力的・・・だったのに、後半からは北村がギャグ親友になってすっかり蚊帳の外に追いやられたり、竜児が3人のメインヒロインを独り占め・・・まぁ、そういう関係から脱却して選ぶべきたった一人を、実乃梨から大河に乗り換えたり、北村が結局会長を追いかけて留学したり、木原や能登といったサブキャラが絡んできたりした分は、ドラマを膨らませ・・・られる要素は十分にあったなぁ。最終的に竜児と大河の恋愛に持って行きたかったからこういう形になったんだろうけれど、戦うべき社会の問題も大河が知らない間に半ば片付けてしまったりと、やや不十分だったか。しかし、春田にいつの間にか彼女が出来ていた辺りが一番リアルだと思ってしまった・・・。
何だかんだ言っても、やや観念的ではあったけど、十分に楽しませてくれるアニメだった。ここぞという場面での見せ方(特に実乃梨関係)の上手さ、キャラクターの動かし方などの上手さは職人的だった。その分、キャラクター同士が複雑な関係にあった時が一番気に入っていたのかなぁ、と自分では思う。最終的に関係が不動のモノになってしまったから、ちょっと不満に思ってしまったのかも。いずれにせよ、こういう作品が出てきてくれたことはかなり嬉しい。バトルも難しいファンタジー設定も無くても、こんなに楽しめる作品もあるものだなぁ、と。堂々と楽しませてもらった。半年かければこういうことも出来るのか・・・と最近思うアニメの濃度とわかりやすさと放送期間の問題に少し触れて、この作品に関する言及は終了。楽しませていただきました。