CLANNAD AFTER STORY 最終回「小さな手のひら」

「楽しいことは、これから始まりますよ」
朋也、渚と出会ったことを後悔しないことを決意。現実と幻想、ふたつの世界の終わりの後に、一つの「奇跡」が舞い降りる・・・な最終回。幻想世界崩壊のシーンは、女の子≒渚だと思っていたら驚かされるという、原作通りの素晴らしいシーンだった。ビジュアル的にも、幻想世界の動かし方は作品全体を通してクオリティが高く、幻想世界パートについては文句ナシ。町の想いが・・・な場面は、単体で見るといいんだけど、汐が死んだ世界の「この町が人生を弄んだ」な台詞と比較してみるとまた違ってみえるなぁ。光を集めるために苦心した世界には町に翻弄され救われない朋也や古河家の人たちがいて、光を集めて作られた新しい世界には町の想いによって救われた朋也と渚、汐がいて・・・という感じになるのかな。とにもかくにも、原作をプレイしてよくわからなかったところは、やはりアニメでもよくわからなかった。しかしわからないところに面白さがあるんじゃないかと思わされるところもあったので(Airもそう)、ご都合主義的なハッピーエンドに見えても、これはこれで。「智代アフター」はあれはあれで面白いんだけども。幻想世界の女の子を風子が発見するシーン、「病院」に行く風子が、「ファミレス」の話題を出して・・・というのは、今更ながら引っかかる。変わりゆく町の象徴である二つの建物が、そんなに安っぽく使われるとは思えないので。風子が汐を見つけられたのは、入院してたときに意識が町に半分溶け込んでいたとか、そんなことも考えられるかもしれない。渚を救った場所を半分犠牲にして作られた病院が、また町の人の命を救い、風子の健康を確かめて家族である公子さんの安心を得る・・・なんともまぁ考えさせられる構図。
全体を通してみれば、原作再現度やクオリティは非常に高く、安心して見ていられる出来だった。その一方で風子シナリオを使いながら朋也と渚を接近させたりと、原作にはなかった試みを多くアニメでしてくれていたと思う。基本的な流れは原作と一緒だったので、大まかなことを「わかっていること」としてしか受け止められなかったり、原作と比べてしまったりしたのが個人的には視聴者の態度としては残念だった。原作つきのアニメとしては、かなり高度なレベルに達していると思うので、さすが京アニと皮肉でなく言っておきたいところ。あとはBGMアレンジのボーカル曲をところどころで上手く使って挿入歌として盛り立てたり、細かいところに気を配ってくれていたようにも思う。色々書きたいけど書ききれない、とにかく力のある作品を50話近くやってくれたスタッフの力量に脱帽。お疲れ様でした。