コードギアス 反逆のルルーシュR2 TURN-01「魔神が 目覚める 日」

昨日はCLANNADの後のSTAGE23-25一挙放送も観ていたので、準備は万全であります。私のいる地域はコードギアスでいうと「キョウト」がある辺りだと思われます。
物語は前作の衝撃のラストから1年後、偽りの日常を生きていたルルーシュがC.C.との再会を通じてゼロとしての記憶を蘇らせ、再び破壊と創造の世界の中へ身を投じていく、という話でしたね。途中で挿入される、「貴族や資本家が上にいる社会」「大人のやり方」「人に従いたくない」などのメッセージが、ゼロであったことを忘れているルルーシュがやはりゼロという人間であったことを証明しているわけです。ゼロは「社会」の「ルール」を打ち砕くために、チェスの駒のように自在に人を従わせる(前作最終話、「いくら藤堂さんでも全体把握が出来なけりゃ・・・」といった台詞があったはずです、藤堂はガチのバトルでは強いのですが、ルルーシュは戦略に長けたタイプであります。ロボットアニメの主人公で後部座席でふんぞりかえっているヤツは他に見たことがありません)、非常に珍しいタイプの主人公・・・といっても、最近増えてきた気がしますが。とにかく、ルルーシュは根本的にゼロであったことを忘れたわけではなく、C.C.の言うように「眠っていた」わけです。C.C.がルルーシュの中のゼロの記憶を呼び覚ますシーンは「眠り姫を覚ますキス」を彷彿とさせますし(C.C.が「魔女」ですので、そのズレが面白い)、ブリタニアの兵隊に「死ね」と命じるシーンは前作1話と全く同じ構図ですね。私たち視聴者は(前作を見た人であれば)近作の第1話に前作の第1話の影を見るはずです。そしてSTAGE-01が「魔神が生まれた日」、TURN-01が「魔神が目覚める日」という過去形と現在形のタイトルの対比になっていることに気付くはずです。前作は過去のものであり、今作こそが真の「反逆のルルーシュ」なのだと言ってもいいように思います*1
さて、R2の1話目を観て混乱した視聴者は、主に第1期を見ていた方が多いと思います。ゼロが目覚めるシーンで前作最終話の回想が流れ、前作を見ていなかった視聴者は「ああ、ルルーシュがゼロだったのか。それにしてもこの回想は何だろう、前作を観ろということかな」ぐらいに思うと思うのですが、第1期を見ていた方は回想シーンにナナリーがいることについて疑問を感じるはずです。そもそもからして冒頭でヴィレッタが先生になり、死んだと思われたルルーシュが元気に生きていたり、いなかったはずの「弟」(ロロ)が存在したり、そのロロを普通に前々からいたように扱うルルーシュはじめ生徒会の面々等に違和感を覚えるはずです。
誰でも推測出来ることでしょうが、この世界は「改竄」されているはずです。そもそも、本当に前作から1年後の同一の世界でない可能性すらあります(玉城をはじめ囚われた騎士団メンバーの発言からすると、同一の世界であると思われますが)。同一の世界だとすれば、少なくともヴィレッタ、ルルーシュ、生徒会の面々あたりは記憶を「改竄」されていることになります。カレンが素顔のルルーシュをゼロとして大人しく従おうとしているところには疑問を覚える方もいたでしょうが、1年経ってショックが抜けて自然に受け入れられたか、あるいは「改竄」されているのかどちらかでしょう。後はシャーリーがルルーシュを「ルル」と呼んでいるのですが、これはルルーシュがゼロだと思っていたのにゼロ死亡の報道を聞いて安心したか、あるいは「改竄」されたかどちらかでしょう。・・・というと、何でもかんでも改竄されているような気がして怖いのですが、それが本作の魅力でしょう。私のような素人がどんなに予想しても大体は当たらず斜め上に行ってくれるという。
さて、「改竄」といえば、今作ではそれがどれも「都合のいい」(御都合主義的な)改竄であることに気がつくはずです。死んだと思ってたルルーシュが実は死んでなかったよ、とか、シャーリーはトラウマ忘れたよ、とか、ヴィレッタは平和に日常サイドに立ってるよ(OP参照)、とか。この御都合主義的な改竄は、ある意味コードギアスのテーマであります。ルルーシュの持つギアス能力(王の力)は、相手に絶対遵守の命令を下す能力でしたね。絶対遵守というのはある意味「御都合主義的」に通じるわけで、御都合主義的に相手の意識と記憶を改竄させる能力、これが王の力であり、コードギアス全体を支えているものです。第1期とR2の間には、何かしらの「改竄」があります。もしかするとそれは大きな矛盾を孕んでしまうのではないかと思いますが、その矛盾をいかに解消し、納得のいく真相を見せてくれるのか、それがまた楽しみだったりします。
他にはルルーシュが素顔のまま「私がゼロだ」と名乗るシーン、ここが前作との一番の違いですね。前作では「ルルーシュ」と「ゼロ」は、仮面とマントによって明確に区別されていました。前作でルルーシュが仮面で顔を隠していたのは、正体がバレた時のリスクを計算してのことだと思われますが、今作には未だそれはありません。そもそも記憶を取り戻したばかりだからだ、ということも考えられますが、C.C.をリーダーとした「黒の騎士団」の生き残りがゼロを探すシーンを思い出してください。彼らはゼロを探しているのではなく、「ルルーシュランペルージ」を探しているのです(顔を拡大してみたりと)。同時にブリタニア帝国側も、C.C.を誘い出すために「ルルーシュ」を餌にしたりと(現場の人間はルル=ゼロという考えではないはずですが)、どちらも「ルルーシュ」を探していました。その「ルルーシュ」がゼロとしての記憶を取り戻した瞬間、「ルルーシュ」の素顔のままで「ゼロ」を名乗る。今作のゼロはもう味方の前で顔を隠すことのない、堂々たる指揮官として前線に出て行くことを予感させます。
今作でもうひとつ。前回マクロスFのエントリで、主人公とダブルヒロインは日本、西洋、中国の三角関係だと述べましたが、コードギアスR2にも中華連邦が参戦してきて、同じような三者関係を予想させます。三つ巴になるのか、欧米(ブリタニア)と中国(中華連邦)が手を組んで日本を侵略にかかるのかは予想出来ませんが。とにかくそういうアイデアだけ。
とにもかくにも、次回以降も楽しみです。CGで描かれるロボットアニメ「マクロスF」と、セル(でいいんでしたっけ?)で描かれるロボットアニメ「コードギアスR2」、この二つが今期の鉄板となることだけは間違いないでしょう。今後どのように我々の期待に応えてくれるのか、そしていい意味で予想を裏切ってくれるのか、そのあたり非常に楽しみです。

*1:第2期の制作は第1期の好評を受けてのモノらしいので、スタッフの意図に反する形となりますが、スタッフはそのぐらいの気概で作っているように思います。そのぐらいの気迫を感じさせる1話目でした。