機動戦士ガンダム00第19話「絆」―絆の再確認(2)

さて、今回本当に「再確認」された「絆」は、言うまでもなく沙慈とルイスですね。
ガンダム00において、色々な形で「絆」は提示されて来ました。前回のグラハム・エーカーがハワード・メイスンの墓参りをするシーンでは、まさにその「絆」が確固たるものとなりましたし(それはグラハムとハワード、そしてフラッグの絆、またフラッグとガンダムとの因縁でもあります)、沙慈とルイスの絆はまたまた言うまでもなく、最も重視して描かれてきたものです(この二人、多分皆勤賞じゃないでしょうか。少なくともそう思わせるぐらい頻繁に登場していましたね)。
その「絆」の再確認が、「回想」という形で明確に示されていた(しかも挿入歌まで用いて)のが、沙慈視点(おそらく)でのルイスとの思い出ですね。沙慈とルイスとの思い出が、遠く出会いまで遡ったこと、そしてその左手がまだ健在であったことを意識してしまい、ふと涙してしまった視聴者の方もいてもいいと思います。しかしそれは帰らぬ思い出であり、ルイスの左手とともに喪失してしまった「日常」であります。沙慈がニュースを見て「ガンダム・・・」とつぶやくシーンは、彼の絶望感か、それともガンダムに対する怒りか、どちらにしても彼の運命は前回転換点を迎えてしまい、そして進むしかない(ルイスに日本に帰らされたように)わけですね。ルイスが彼に託した夢の内容によっては、彼がMSに乗る可能性は当然あります。ルイスが「倒してね、アイツらみんな、やっつけて・・・」(SEEDのフレイです)とか言っていたらどうしようかと思いましたが、ルイスは思ったより気丈に振る舞って(あくまで「振る舞って」)いましたね。そんな彼女が沙慈を窓辺から見送るシーンに、安心感を覚えた視聴者もいたのではないでしょうか。「よかった、足があった・・・」と(あまり注目してはいませんでしたが、前回のカットで「もしかして足も無くなってしまったんじゃないか」と思った方もいらしたようです)。しかし左手は喪失してしまったので、「回収しきれない情動」は収まるどころか、かえって回想シーンで増幅してしまったという方もいたことでしょう。
再びCB側に戻りますが、彼ら4人の絆というのは、本当にあまり示されていませんでしたよね。4人で行動するミッションもあるにはありましたが、「絆」があるというよりは、むしろ仕方なく4人で動いていたような、そんな気さえします。刹那とティエリアがフォーメーションで戦う場面に、思わずスメラギさんも感動していましたが(これもトリニティの存在が無ければ視聴者には肯定的に伝わらないでしょうね)、そのぐらい彼らの「絆」は希薄でした。そんな彼らの中で最も仲間意識が強かったのは、おそらくアレルヤでしょう。彼は「ガンダムマイスターは一人じゃない」と言い放ち、ミッション中にティエリアに話しかけたり、自分と同類である超兵の研究施設を撃つことに戸惑いを覚えたりします。そんなアレルヤが、「絆」というサブタイトルがつけられた話から「仲間外れ」にされたことに、今になって多少の違和感を覚えますが、彼はそれこそ「人工的な存在」であり、ハレルヤというもう一つの意識と一つの体を共有していますね。そんな彼が今回仲間外れにされたのは、偶然なのか、元々仲間意識が強い彼に絆の再確認は必要無かったのか、いずれにせよ気になる部分ですね。
まとめに入りますが、今回は次回に向けて色々な伏線が張られました。不敵に笑うアレハンドロ・コーナーリボンズ・アルマーク(ED後の提供画面でパイロットスーツを着ていましたね)、そしてアリー・アル・サーシェス(予告ないしは提供画面参照)の3人。ソレスタルビーイングの「内部分裂」と、南極施設に保管されていた無数の何か(おそらく擬似GNドライブでしょう)。また、次回予告で沙慈の姉・絹江がサーシェスと接近しているシーンと、沙慈の顔のアップが入っていましたが、これは両方合わせて沙慈が戦争(サーシェスはロックオンに「戦争中毒」と揶揄されていましたね)と接近するということを示唆しているのかもしれません。
とにかく、次回も楽しみです。サブタイトルの「変革の刃」は、前回の「悪意の矛先」、ないしは古谷徹の次回予告のメッセージ(「そして死するしか無いのか」)と照らし合わせると、その矛先が、「変革の刃」が誰に振り下ろされるのか、注目に値するでしょう。
最後になりましたが、ロックオンが自分の「罪」を自覚し、報いは後で受ける、と言う場面は、ロリコンファルさんの指摘が正確であったことを思い出しましたね。お見事です。