CANAAN 最終話「キボウノチ」

「それはきっと、普通の女の子の物語――」
マリアはユンユンが助け、ありのままを見通すカナンの最後の力により、アルファルド撃破・・・というほど綺麗な話では済まなかった。カナンVSアルファルドは、結局アルファルドがシャムと「カナン」の名にこだわり過ぎて、既に心は死んで固まっていた・・・というところでいいのかな。カナンの方はマリアという「友達」を手に入れたこともあるし、時が止まっていなかった・・・ということで、そこでアルファルドに一歩リードしていたわけか。何にせよこの二人の戦いと結末は、単にどちらかが殺す、死ぬというよりは相応しいものだったと思う。アルファルドでさえ救おうとするカナン、蛇の腕を撃ち抜き自ら落ちたアルファルドと、二人の対立が易く解消されなかった点も含めて。
エピローグ。ミノさんは結局カナンのことは記事にせず、ジャーナリストとしての本懐を遂げることは無くも、この物語の語り部的な役割は果たせたかな。カミングスは出家し、片腕となって生きていたアルファルドは人の波に消え、再びカナンとの戦いを始める。日本に帰ったマリアはカナンとアルファルドの写真を並べる・・・国際テロ組織と、それに対抗するエキスパートの写真を日本で公開していいのかと野暮な突っ込みはおいておこう。あの二枚の写真の真ん中に「CANAAN」なんて書いておけば、もうそれだけで十分すぎる。マリアがカメラマンだという設定が、最後の最後で生きたか。
マリアの出生に関する秘密、ユンユンの部屋の合鍵など、明らかにされなかった要素や遣われなかった伏線もあったけど、全体としてはもう大満足。ハイクオリティでスピード感あふれるバトル、百合、そしてウィルスやテロその他、「らしい」要素満載の作品だった。リャン・チー、サンタナ、ハッコーといった死んでいったサブキャラ達の魅力も素晴らしい。全体的に文句のつけどころがほとんど無い作品だったと思う。いかにも奈須きのこ的・・・というほどでもないシナリオや設定は、もうちょっとはっちゃけても良かったのでは。ガンアクションアニメだから必要以上に異能力バトルにしたくなかったんだろうけど。
あと、この作品のOPである飛蘭の「mind as judgment」は今期最高のOPだったのでは。毎週楽しみにしてたし、最後もこの曲で終わってくれて、そしてこの曲を流せるような展開で終わってくれて、本当にその点は文句なし。P.A.Works麻枝准原作の「Angel Beats!」も制作するらしいので、これでかなり期待が持てるようになったと思う。
CANAAN カナン (1/8スケール塗装済み完成品)CANAAN カナン (1/8スケール塗装済み完成品) mind as Judgmentmind as Judgment