銭ゲバ 最終話

死の直前に風太郎が描いた夢。普通に両親生存、普通に大学に入り、普通に就職・結婚・出産し・・・という、オールスターキャストで送る、素晴らしいほど「幸せ」な夢と、彼らの現実での死に様がクロスする見せ方は見事の一言に尽きる。そして夢の後に風太郎は爆死、残された人々はそれぞれの人生をまた歩み始め・・・というのも幻想、実際はこれから死ぬ風太郎が視聴者に向かって「銭ゲバはどこにでもいる」宣言!・・・完全にしてやられた。しかし、幸せな夢にしても、現実にしても、今回ばかりは「金があるから」「金がないから」というのが出てこなかったので良かった。
一応毎週楽しみに見てましたが、監督が「エンターテインメントに徹する」と言っていた(ような気がします)ように、極端ではあったけど面白かった。具体的なデータや事例を示そうとしながらも単純な恋愛ドラマに収まった「セレブと貧乏太郎」よりはこちらを評価したいところ。「金がないせいで〜」とか、「金で買えないものがある」というテーマに還元せずに、金が無くても幸せがあるという感じの象徴だった伊豆屋の店主夫婦の狂わせ方なども見事だった。人がバンバン死んでいったけど、その分だけしっかり作りこんであったなぁ。この作品については、メッセージ性とかをあまり重視せず、エンターテインメントとして楽しんだ方がいい気がする。これ真に受けてたら、多分人間として崩壊してしまう。ただ、最後の風太郎のメッセージに多少なりとも共感してしまったという本音だけは書いておきましょう。