コードギアス 反逆のルルーシュR2 FINAL TURN「Re;」

戦い生き残る全ての人々の声を響かせる最終決戦。全ての憎しみを一手に引き受けることを選んだナナリー。そしてそれさえも全て飲み込んで、皇帝ルルーシュいよいよ君臨。2ヵ月後のパレード、そこにはルルーシュを殺す「ゼロ」の姿が・・・。
というわけで、まさかのルルーシュ死亡エンド。ここまで思い切るとは思っていなかったので、少し感動と寂しいモノがありますが。全てが見える世界で争いを無くそうとしたシャルル、全てを抑圧することで争いを無くそうとしたシュナイゼル、全ての憎しみを引き受けようとしたナナリー、そして一手に引き受けた憎しみを解放するルルーシュとスザク。ルルーシュの思い描いた世界のヴィジョンっていうのはこうだったのね。自分が死ぬことで「憎しみの連鎖」を断つ、と。「あれはゼロです」と言い切ったカレンなんかは、その辺り非常によくわかっていたなぁ、と。カレンはナオトの希望通りに日常に回帰し、スザクは全ての罪を背負って英雄ゼロの仮面を被り続け、ナナリーはたった一人の兄を失う・・・ルルーシュはナナリーのことをしっかり考えていたはずなので、ナナリーはもう一人で生きていけると判断したんでしょうね。あるいはこれがルルーシュがナナリーに与えた「罰」なのかもしれませんね。
もう一つのテーマ、「ギアスは願いに似ている」という・・・まぁ、人は一人じゃ何も出来ないんだから結局他人の力が必要なんだよ、ってなところでしょうか。明日を願う人々のためなら強制でも何かやってやる、ってのがルルーシュだったのかなぁ。あるいは無理やりにでも人々に明日を迎えさせてやる、っていうのが。「お兄様と二人でいられればそれでよかった」というナナリーに対して、あくまでも「幸せを求め続けた」ルルーシュの反逆が、今まさに幕を閉じたわけであります。ここまで全ての罪を一手に引き受けた主人公もいませんし、我々を引っかきまわしてくれたルルーシュ。しかし結局未来のヴィジョンをシステマティックに示すわけでもなく、人々に自ら「明日」を考えさせる・・・この作品のラスト、我々視聴者にも同じことを求めてるのかな。とりあえず材料は用意したし、機会は与えたから、「コードギアス」が終わってルルーシュがいなくなった世界で、さぁお前ら考えてみろ、と。そういう挑発めいたメッセージが発せられているような気もします。
扇さんが首相になったり、玉城が店開いてたり、ジェレミアとアーニャがオレンジ農家してたりと、何故か物凄い勢いでエピローグも充実しておりましたが、この辺りはここまで見てきた視聴者へのサービスかなぁ。しかし特別な力を持っていない扇なんかはルルーシュの作り上げた「話し合い」の世界においてまさに首相に相応しい人物であるかとは思います。ナナリーは多分100代目皇帝になってたんでしょう。スザクはゼロになっても相変わらずナナリーの車椅子を押す係なのね。
とにかく、ルルーシュが死んだことによって「反逆のルルーシュ」は完結。大体2年ぐらいかけた壮大なシリーズだったとは思いますが、エンターテインメントとしてはここ最近では最高のデキだったと思っています。ルルーシュは大変なギアスをかけていきました・・・とまでは行きませんが、我々が「コード」を受け継ぐかそうでないかは我々次第。この作品の不思議な引力に引かれた我々が繰り広げてきた「祭り」も終わりではありますが、シメの言葉が思いつかない・・・。とりあえず、ありがとギアス!