機動戦士ガンダム00第22話「トランザム」―それぞれの「ガンダム」―

さて、先週でロックオンは死んだかと思いきや、片目負傷で生きてましたね。しかも眼帯つけてより格好よくなった感じすらありますね。ロックオンの失われた右目を、ルイスの失われた左手と重ね合わせると何か出てきそうですが、今のところはそういうアイデアだけ。
沙慈は「ガンダムなんてやられちまえ」と、暗い部屋でテレビに見入ってましたね。姉も亡くなり、ルイスもおらず、彼を縛るモノは何もありません。これから彼がサーシェスのように「ガンダム」を奪ってガンダムを破壊しに行く、そういった可能性も当然考えられますね。


今週は「ガンダム」によって負傷したロックオンと、それを巡る「ガンダム」の問題。「GN−X(ジンクス・・・また意味ありげな名前ですね)」と名付けられた「ガンダム」(初登場時参照、ピーリス少尉が「ガンダムの力」と言っていたはずです)によって傷つけられたロックオンの右目は、通常の医療では回復不能でしょう。GN出力のビーム兵器で破損した細胞は再生不可能だったはずですから。しかしそれを癒すカプセルを持っているのがCBでありまして、彼らは「ガンダム」を行使するだけでなく、ガンダムによって傷ついたモノを再生する、そういう力まで持ってしまっていることが明らかになりましたね。ヴェーダによる制御もあれば最強だったんですが、その後ろ盾が無くなり、代わりにトランザムシステムを手に入れた、というのが今週までの流れですね。
サーシェスはあっさりとミハエルを殺し、スローネツヴァイを奪ってヨハンを殺し、刹那を圧倒しつつもトランザムで返り討ちにされてましたね。彼が持っていたのはイナクトのレッドカラー、奪ったのは赤いツヴァイ、そして彼を打ち倒したのは紅く光るエクシア。「赤」はこの作品では血のイメージが付きまとっており(彼が殺した絹江もラグナも真っ赤な血を流して倒れていましたね)、同時にそれは戦争と、戦争を楽しみ広げようとするサーシェス自身のイメージカラーになり得るものです。さらに、ルイスの左腕を破壊したドライも、量産型のGNエンジンTも赤色ですね。戦争の赤、そして戦争を否定するエクシアも赤くなり、戦争を否定する物と肯定する物の色が同じ色に染まってしまったことは、結局「戦争根絶≒戦争」だということの証明かもしれません。皮肉めいてますが。
さて、「ガンダムに乗るために生まれ生きてきた」とヨハンが言いましたが、確かに公式にも「設定年齢」という、いかにも人工的な存在であることを示唆する記述が為されています。彼らと、ヴェーダとリンクしていることが自分のマイスターとしての資格であると考えていたティエリアは、ガンダムに乗ることが自分の存在意義であると考えています。もちろん刹那もそうなのですが、以前にも述べたかと思いますが彼は「ガンダム」を違う定義で捕えています。サーシェスにしろ、国連軍にしろ、トリニティにしろ、彼らにとってガンダムは「兵器」として行使するものであります。しかし刹那にとってガンダムは「なる」もの、戦争の根絶を体現する存在です。そしてそれはCBの目指したモノ、イオリアの目指したもの、戦争を根絶する為の力です。だからこそイオリアは(といっても、恐らく眠る前に残しておいたメッセージ並びにプログラムかと思われますが)刹那にトランザムの力を託した(ように見える)わけです。
ガンダムで戦争を根絶しようとするもの、ガンダムの滅びを願うもの、ガンダムで戦争を楽しもうとするもの、ガンダムになろうとするもの、「ガンダム」でガンダムを倒そうとするもの、彼らの思惑が交錯し合っているようですが、来週また大きな出来事が起こりそうです。単純に展開が早い、あるいは巻きに入っているのかもしれませんが、毎週誰かが死んだり負傷したりと、非常に気になる展開にはなっていますね。
ネーナの仲間入りフラグ(一人で戦うのも無理そうですね)も立ちそうですし、今後も楽しみです。